カクヨム研究所~みついえの文芸ブログ~

カクヨムで読んで貰える作品にするにはどうすれば良いかを考えていきます。元文芸部員なマーケティング会社員による、創作活動の日記。 小説、アニメ、漫画、ゲームの感想も書きます。

サロメみたいな「エモい」小説が読みたい。

今週のお題「読書の秋」に乗っかって、最近グッときた小説をご紹介します。
私は「エモい」小説が読みたい。サロメみたいな。
エモい→感情的な、情緒のある、感情に訴えかけるという意味で使用しています。かなり一部ではエロくてキモイの意味合いで使用されるようですが、今回はもちろんそういった意味ではありません。

おそらくそういう系かと思って買ってみた本が、小川洋子さんの「薬指の標本」。

・あらすじ
昔工場勤務をしていた際、機械の事故で薬指の先が欠けた主人公が、なんでも標本にする標本屋さんで働く話。
・感想
星5で評価するなら星3つ
★★★☆☆
(総評)
エモさは若干あった。
ハマる人はきっとハマる。たぶんひと昔前の世にも奇妙な物語や週間ストーリーランドが好きな人が好きな路線。
解釈は読者にお任せしまーす!みたいなオチが許せない人はあんまり好きじゃないと思う。

文章→エモさは若干あった。女性作家らしい、丁寧な情景描写や文体の柔らかさにエモさがある。サイダーのところの描写は本当に繊細で素敵。
ストーリー→似たような系統の話はおそらくホラーとかのジャンルでたくさんある。
全体的に中途半端な感じ。ホラーまで行かない怖さ、恋愛してるけど恋愛というには雰囲気が微妙な男女。そういった微妙さを楽しめる人には面白いはず。あと、薬指の話をするなら薬指で固定して欲しかった。なぜ革靴。これは手袋とかではダメだったのか。
買うときの口コミでフェテイシズムが~と見たけれど、フェチ的な話ならなおさら指なら指、足なら足どっちかだけに触れて異常な執着心が垣間見えるようにしてほしかった。これは完全に私の好み。

倒錯的な感じで言えばサロメより上ってないんだろうか。
倒錯的だったり、退廃的だったりな雰囲気を丁寧な描写で表現しているエモい小説をご存知の方はコメントください。